お香とは

(出典:平凡社大百科事典より抜粋)
 わずかに加熱すると芳香を発散するもので、人類が生活の中に芳香をとり入れ
 た最初の形式と思われる。香をたき不浄をはらい神をまつることは、古代民族の間
 に一般に行われた宗教上の儀礼でこの風習は現在にもおよんでいる。  

 香の原料としては、白檀(びゃくだん)、丁香(ちょうこう)などのように樹木の皮、葉、根などの粉末や、乳香、
 安息香など、芳香のある樹脂や麝香(じゃこう)、竜涎香(りゅうぜんこう)など動物性のものがあり、ふつう
 香木(明香)と練香(合香)とに分けられる。

 香木は、樹木そのものを小さくしてそのまま用いる物であり、練香は、香木などを粉にした中に動物性の
 例えば麝香皮などを溶かし加えてミツ(蜜)などで練り合わせて一定量の形にまとめたものである。

 日本には仏教の伝来にともなって香が伝わり、もっぱら仏前を清める材料として、
 おもに寺院で<供香(そなえこう)>として用いられた。
 8世紀頃になると上流社会の間で実用的な方面にも使用するようになり、部屋、
 衣服、頭髪などにたきしめたりする風習を作った。 すなわち空薫物(そらだきもの)が盛んになった。

 この流行と共に発達したのが薫物合(だきものあわせ)であり各自の調香技術が競い合われた。
 さらに室町時代になると三条西実隆、宗祗などによって、単に遊戯ではなく匂(におい)の芸術として一定の
 方式のもとに行なう<香道>が創立された。

 仏教の発祥地であるインドは多くの香木の産地であり、また酷暑の地であるので
 悪臭を防ぐために、香は重要な役割をしていた。仏教ではこれをたくと悪気を去り
 心識を清浄にするとして仏前でたき、供花、灯明とともに供養の資具としている。
 また仏像、仏具にも香木を用いる事が多く、経文の中にも香についての記述は多い。

 《観仏三味海(かんぶつさんまいかい)経》第10に<願わくはこの華香(けこう)は十方界に満ちて一切の
 仏と化仏ならびに菩薩、無数の声聞(しょうもん)衆に供養せん
>としてある。
 また香は供養のほかに、仏や聖僧などを迎える物であり仏の使いでもあるとしている。

 迦羅・伽藍とも書き伽羅香ともいう。香木の一種。
 サンスクリットのカーラーグルkalagulu(黒沈香の義)からきたともいわれ、中国では
 奇南、奇藍ともいう。

 茶道では、白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)とともに賞鑑され伽羅は真の香と定められている。

 香木として名高いジンチョウゲ科の常緑高木。
 それから採った香をも合せていう。インドから東南アジア方面に分布する。
 高さ20m以上、幹の直径2m以上に達し、葉は互生する革質の長楕円形で、長さ
 5〜7p、先が尾状にとがり、へりにはぎざぎざがなく表面につやがある。白い花が葉腋(ようえき)に、または
 頂生のかさ形にたくさん集まって咲く。

 <沈香>は材の部分に含まれている樹脂で、東洋では衣服や器物にかおりをつけ、また香として燃やし、その
 香りを賞し、古来最も高価なものの一つに数えられた。

 生木を切り倒して自然に腐らすか、または数年土中に埋め、外部の樹脂を含まぬ部分を腐らすかして樹脂の
 多い部分を用い、または材の傷口や空洞の部分に固まった樹脂を採集する。
 <伽羅>も同じものと考えられている。 


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